散文置き場partⅢ
風の吹くまま気の向くまま。ネタが思いついたときの書き散らし文置き場兼日記です。
散文の流用禁止、一応著作権の主張させていただきます。(ここに含むものはいろいろありますが)
エロ話も放置してますので18歳以上の女性の方のみご覧ください。
なお拍手レスに関しましては内容によってはお答えできかねるときも有りますのでご了承くださいませ
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POISON(仮)
後で焼きなおしたいので仮題で。11/3のテイルズ菜園の時に配布したペーパーに載せた小話です。
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ガタン、と。
窓の外から聞こえた珍しく大きな物音と、馴染んだ気配との落差に不思議に思ったのがつい先ほど。
慌てて窓を開けて転がり込んできた体を抱きとめて、これまた珍しい熱烈なアプローチに戸惑っているのが今の僕の状況だ。
「ユーリ?」
よほど不思議そうな顔をしていたのだろう、上がった息のままユーリは苦笑いを浮かべた。
「わり、お前んとこくらいしか思いつかなくてな」
「それは構わないがどうしたんだその様子は」
僕の問いかけにユーリは熱いため息を一つつくとこういってのけた。
「薬…盛られたみてぇ。さっきから身体が熱くってたまんねぇ」
「な…!?」
恐らくは力も入らないのだろう。その状態でよく木なんか登れたものだと半分呆れ。もう半分はその頼り先に僕を選んでくれたことが誇らしいような照れくさいような。
「わりぃけど薬抜くの手伝ってくれ」
ということは、完全に媚薬の類、それも抱かれなければ抜けないタイプのものか。アルコールで摂取するとこういうものはより顕著に症状が出ると聞いたことがあるから、ユーリが盛られたのもその類のものなのだろう。
困ったことに本人にその気がなくてもユーリは誘蛾灯のようにそういった楽しみ方を好む存在を引き寄せる。自衛は本人なりにしているのだろうが、珍しいことに今日は油断をしたのだろうか。
(珍しいこと続きだな…)
確かに腕の中の身体は常より熱っぽい。もしかしたらユーリだからここまで意識を保ってこられたのかもしれないが、恐らく限界も近いに違いない。ユーリの誘い方に余裕がないのがいい証拠だ。
「抱いてくれフレン。…手加減なんてすんじゃねぇぞ」
***
「にしても君にしては珍しいこともあるもんだな」
「なんとでもいえ。オレがなめてかかっちまったんだ」
明け方近くまで貪るように交わって。ようやく薬の効力が抜けたころには二人揃って疲労困憊だった。
寝物語のように蒸し返したフレンに忌々しげにユーリが返す。相手が一人だとなめてかかっていたら何人かと組んでいたようだと。とっさに逃げ込み先を城にしたのは追手が簡単についてこれないことと、やはりフレンの存在だ。こんな風に無防備に体を預けることができる相手なんて他にはいない。
さらりと滑るユーリの髪と戯れるフレンの指を感じつつ体を起こす余力もなく。ユーリはぐったりと体を伸ばしたまま思わず愚痴る。
「ったく…らしくねぇ」
「僕はちょっと嬉しいけどね?」
若干弾んで聞こえるフレンの声にユーリはちらりと目線をやるとそこには極上の笑顔。見てられなくて視線を思わず外してしまう。
「ユーリがこういうときに頼ってくれるってことは僕を唯一の相手だって思ってくれてるのかなって」
「ったりめぇだ。お前でなきゃ誰が…っ!」
うっかり口を滑らせたことに気がついて。次いで真っ赤に染まった顔を隠すのに枕に顔を埋めたユーリをフレンは嬉しげに後ろから抱きしめる。こんな風にユーリの素直な言葉を聞けるのは滅多にないから。
「君は素直じゃないからね」
包まれる体温に悔しいけれど安心してしまう。安心しついでに体の疲れが後押しして急速に睡魔がユーリを襲った。
「…ふぁ…」
「このまま寝ちゃいなよ」
いつもならユーリがフレンにかける言葉。お前こそ、という言葉が音になる前にユーリは深いまどろみの中へと墜ちて行った。
Fin.
20111102up
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ガタン、と。
窓の外から聞こえた珍しく大きな物音と、馴染んだ気配との落差に不思議に思ったのがつい先ほど。
慌てて窓を開けて転がり込んできた体を抱きとめて、これまた珍しい熱烈なアプローチに戸惑っているのが今の僕の状況だ。
「ユーリ?」
よほど不思議そうな顔をしていたのだろう、上がった息のままユーリは苦笑いを浮かべた。
「わり、お前んとこくらいしか思いつかなくてな」
「それは構わないがどうしたんだその様子は」
僕の問いかけにユーリは熱いため息を一つつくとこういってのけた。
「薬…盛られたみてぇ。さっきから身体が熱くってたまんねぇ」
「な…!?」
恐らくは力も入らないのだろう。その状態でよく木なんか登れたものだと半分呆れ。もう半分はその頼り先に僕を選んでくれたことが誇らしいような照れくさいような。
「わりぃけど薬抜くの手伝ってくれ」
ということは、完全に媚薬の類、それも抱かれなければ抜けないタイプのものか。アルコールで摂取するとこういうものはより顕著に症状が出ると聞いたことがあるから、ユーリが盛られたのもその類のものなのだろう。
困ったことに本人にその気がなくてもユーリは誘蛾灯のようにそういった楽しみ方を好む存在を引き寄せる。自衛は本人なりにしているのだろうが、珍しいことに今日は油断をしたのだろうか。
(珍しいこと続きだな…)
確かに腕の中の身体は常より熱っぽい。もしかしたらユーリだからここまで意識を保ってこられたのかもしれないが、恐らく限界も近いに違いない。ユーリの誘い方に余裕がないのがいい証拠だ。
「抱いてくれフレン。…手加減なんてすんじゃねぇぞ」
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「にしても君にしては珍しいこともあるもんだな」
「なんとでもいえ。オレがなめてかかっちまったんだ」
明け方近くまで貪るように交わって。ようやく薬の効力が抜けたころには二人揃って疲労困憊だった。
寝物語のように蒸し返したフレンに忌々しげにユーリが返す。相手が一人だとなめてかかっていたら何人かと組んでいたようだと。とっさに逃げ込み先を城にしたのは追手が簡単についてこれないことと、やはりフレンの存在だ。こんな風に無防備に体を預けることができる相手なんて他にはいない。
さらりと滑るユーリの髪と戯れるフレンの指を感じつつ体を起こす余力もなく。ユーリはぐったりと体を伸ばしたまま思わず愚痴る。
「ったく…らしくねぇ」
「僕はちょっと嬉しいけどね?」
若干弾んで聞こえるフレンの声にユーリはちらりと目線をやるとそこには極上の笑顔。見てられなくて視線を思わず外してしまう。
「ユーリがこういうときに頼ってくれるってことは僕を唯一の相手だって思ってくれてるのかなって」
「ったりめぇだ。お前でなきゃ誰が…っ!」
うっかり口を滑らせたことに気がついて。次いで真っ赤に染まった顔を隠すのに枕に顔を埋めたユーリをフレンは嬉しげに後ろから抱きしめる。こんな風にユーリの素直な言葉を聞けるのは滅多にないから。
「君は素直じゃないからね」
包まれる体温に悔しいけれど安心してしまう。安心しついでに体の疲れが後押しして急速に睡魔がユーリを襲った。
「…ふぁ…」
「このまま寝ちゃいなよ」
いつもならユーリがフレンにかける言葉。お前こそ、という言葉が音になる前にユーリは深いまどろみの中へと墜ちて行った。
Fin.
20111102up
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